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吃音治療とオンライン認知行動療法（CBT）の新たな可能性
吃音に悩む方の中には、人前で話すことが苦手だったり、会話を避けたりする方も多いのではないでしょうか。近年の研究では、吃音のある成人の多くが社交不安を抱えている ことが分かっています。この社交不安が、吃音治療の効果を長続きさせるのを難しくしている可能性があるのです。

そこで今回ご紹介するのは、「吃音治療にオンライン認知行動療法（CBT）を組み合わせると、治療の効果が高まるか？」を検証したオーストラリアの2019年の研究です。
（参考資料：R. Menzies et al. "Supplementing stuttering treatment with online cognitive behavior therapy: An experimental trial.." Journal of communication disorders, 80 (2019): 81-91 . https://doi.org/10.1016/J.JCOMDIS.2019.04.003.）

吃音と社交不安の関係

吃音のある方の中には、「話すことが怖い」「人前でうまく話せないとどう思われるか不安」と感じる方が多くいらっしゃいます。実際、吃音治療を希望する成人の約60%が社交不安を抱えている というデータもあります。特に、7～12歳の頃から社交不安の兆候が見られることも 分かっています。

社交不安が強いと、会話を避けるようになり、吃音を改善するためのトレーニングを日常生活で活かしにくくなる ことがあります。そのため、吃音の治療だけでなく、社交不安を軽減するためのアプローチ も重要だと考えられています。

研究の概要

この研究では、吃音治療にオンラインCBTプログラム「iGlebe（アイグリーブ）」を追加すると、治療効果が向上するかどうか を検証しました。

研究の流れ
1. 吃音治療（発話再構築トレーニング）を受ける（3日間の集中トレーニング）
2. 参加者を2つのグループに分ける
  - 対照群：吃音治療のみ
  - 実験群：吃音治療＋5か月間のオンラインCBT（iGlebe）
3. 6か月後と12か月後に効果を評価
オンラインCBT「iGlebe」とは？

iGlebeは、吃音のある方のために開発されたオンライン認知行動療法プログラムです。臨床心理士の動画や音声を交えながら、吃音に対する不安を軽減するトレーニング を行います。

研究結果：iGlebeの効果

12か月後の評価
- 吃音の自己評価（最悪時・通常時）が有意に改善
- 吃音が生活に与える影響（QOL）が向上
- 社交不安や否定的な思考の軽減も見られたが、統計的には有意でない
一方で、実際の発話の流暢性（%SS）は両グループとも同程度に悪化 しました。この結果から、CBTは吃音自体を軽減するものではないが、吃音に対する不安や生活の質を改善するのに役立つ可能性がある ことが分かりました。

この研究から分かること
1. 吃音の治療には、社交不安への対処も重要
  - 吃音そのものの治療に加え、不安を軽減するアプローチが効果的
2. オンラインCBT（iGlebe）は、吃音の自己評価や生活の質を向上させる可能性がある
  - CBTにより「話すことへの恐怖」を軽減し、会話の場面に前向きに取り組めるようになる
3. オンライン治療は、通院が難しい方にも利用しやすい
  - iGlebeのようなインターネットを活用したプログラムは、自宅で自分のペースで学べるメリットがある
当院の取り組み

当院では、吃音に関するご相談を随時受け付けております（オンライン対応も可能です）。
また、吃音に伴う不安やストレスについてのご相談も可能 です。
- 吃音の診断や評価を受けたい
- 発話トレーニングを受けたい
- 吃音によるストレスや不安を軽減する方法を知りたい
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
吃音の治療には、発話のトレーニングだけでなく、不安やストレスへの対処も大切 です。

あなたに合った対処法を一緒に考えましょう。
まずはお気軽にご相談ください！
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