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H26年10月8日よりスギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)開始
2014.10.08
毎年2月頃より3月まで症状がでることの多い、「スギ花粉症」。
命に関わるわけではありませんが、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの不快な症状により、
好きな趣味やスポーツを楽しめなかったり、
つらい気分で仕事をしなければなかったりするなど、
私たちの生活の質をおとす、やっかいな病気です。
全国の耳鼻咽喉科をはじめとする登録された病医院において
H26年10月8日(水曜日)より、
スギ花粉症に対する、舌下投与によるアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)が開始されます。
アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)とは、
原因であるスギ花粉のアレルギー物質を投与し続けることで、
じつはスギ花粉は体に危険でないものであることを自然に認識させ(これを免疫寛容といいます)、
花粉に対して過度のアレルギー反応を引き起こさないようにする治療法です。
ただこの方法には時間がかかり、スギ花粉の季節の2〜3ヶ月以上前から投与をおこない、
これを2年以上続けることが必要です。
スギ花粉によって生じる鼻水などの関連症状を和らげる治療法で、
スギ花粉による花粉症を根本から治す根治療法になります。
スギ花粉に対して無症状になり服薬が必要なくなったり、
軽症化して薬を飲む期間や量を減らせた方が80%以上になることがわかり、
また、治療を2年以上続け、その後終了した後でも、
約70%の方で効果が持続することなどがあきらかになっています。
アレルゲン免疫療法は100年ほどの歴史があり、
今まで皮下注射による皮下免疫療法(痛みがあり、必ず医療機関で投与)が中心でした。
今回日本で登場する舌下投与による免疫療法(舌下免疫療法)は、
より安全で簡便に投与のできる方法(痛みがなく、自宅で投与でき、患者さんの負担が少ない方法)として、
現在ヨーロッパを中心に広くおこなわれております。
『当院におけるスギ花粉症の舌下免疫療法の受け方について』
対象は、スギ花粉症の成人または、12歳以上の小児の方です。
まず、
①症状の問診
②鼻鏡検査(鼻の粘膜の状況を調べる検査)
③RAST(ラスト)検査(スギでアレルギーが起こるかどうか調べます)
(±)その他(レントゲンなど)(副鼻腔炎やポリープなど、その他の病気がないか調べます)
などをおこないます。
治療できない方は、
①スギ花粉症ではない方、
②本剤の投与でショックを起こしたことのある方、
③重症の気管支ぜんそくの方、
④悪性腫瘍、または免疫系に影響を及ぼす全身性の病気(たとえば自己免疫疾患、免疫複合体疾患、または免疫不全症など)のある方
です。
投与において注意が必要な方は、
①本剤、またはアレルゲンエキスによる診断・治療、あるいはスギ花粉を含む食品でアレルギー症状を起こしたことのある方、
②気管支喘息のある方、
③65歳以上の高齢の方、
④妊婦、産婦、授乳婦、
⑤非選択的βブロッカー内服中の方(高血圧や不整脈や狭心症の治療薬)
⑥ステロイド薬を内服中の方、
⑦スギ花粉以外のアレルギー物質に対しても反応性が高い方
です。
舌下免疫療法による治療適応があると判断した後、
治療により期待できる効果(上記をご参照下さい)や、
副作用や注意点(下記をご参照下さい)について説明します。
副作用や注意点:
①アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、全身の発赤、顔面浮腫・咽喉頭の血管浮腫、じんましん、喘息)や、口内炎、舌下腫脹、咽喉頭搔痒感、口腔内腫脹、耳掻痒感、頭痛などが生じる危険性があります。
②治療は長期間かかります(3〜5年)。
③すべての方に効果が期待できるわけではありません。
その後、
治療スケジュールや服用方法や
服用時の注意点について説明します。
服用時の注意点:
①服用後少なくとも30分、服用開始初期、スギ花粉が飛散している時期は、副作用と思われる症状に注意してください。
②ぜんそく発作時、気管支ぜんそくの症状が激しいとき、風邪のとき、抜歯後など口腔内の術後や口腔内に傷や炎症があるとき、服用を長期に中断した後に開始するときは、医師に相談が必要です。
③服用する前後2時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などは避けてください。
④誤って多く服用した場合は、直ちに吐き出しうがいをしてください。
⑤スギ花粉症の症状の改善があっても、自己判断で服用を中止しないでください。
⑥他の医療機関でお薬が処方されたときは、医師に報告してください。
最後に、治療を受ける前の心構えについてご説明し、
ご理解いただいた上で治療開始となります。
心構え:
①スギ花粉が飛散していない時期も含め、長期間の治療を受けられる。
②シダトレンの服用を毎日に持続できる。
③少なくとも1ヶ月に1度受診することができる。
④全ての患者さんに効果を示す訳ではないことが理解できる。
⑤効果があって終了した場合でも、その後に効果が弱くなる可能性を理解できる。
⑥アナフィラキシーなどの副作用が起こる恐れがあることが理解でき、副作用が起きたときの対応が理解できる。
費用:
*シダトレン服用にかかる薬剤の月々の自己負担は、
3割負担の方で約900円/月、10800円/年となります。
このように
①検査や多数の説明が必要であり、
②副作用が生じる可能性があることから、
当院でのスギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)は、
インターネットや電話での完全予約制で対応させていただきます。
なお、スギ花粉飛散の関係上、
今年度はH26年12月31日までしか投与開始できません。
その後は、H27年6月より開始予定です。
ご質問がございましたら、ご相談下さい。
(参考:『花粉症は治せる!舌下免疫療法がわかる本』、アレルゲン免疫療法.jp http://www.alg-immunotherapy.jp/ 、
鳥居薬品株式会社 http://www.torii.co.jp/release/2014/140902.html より)
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