お子さんの発音に関する問題が心配な親御さんもいらっしゃると思います。特に、小学校に入学しても発音がうまくできない場合、それが原因で通級指導教室を利用することがあります。今回の研究では、そうした発音の問題があるお子さんが、音の聞き取りや言葉の操作にどのような影響を受けているかを調べました。
どんなことが分かったの?
この研究では、発音に問題がある小学生と、発音が正確にできる小学生を比べて、いくつかの認知機能をテストしました。特に注目したのは、以下の3つです。
-
音韻認識
言葉の中の音を正確に聞き取り、操作できる力です。例えば、ある単語の最初の音を抜いたり、音の順序を逆にすることができるかどうかが試されました。 -
語音弁別
正しい音と間違った音を区別できる力です。自分の発音を聞きながら、どこが間違っているのかを判断することが重要です。 -
実行機能
特に「抑制」という能力で、これは何かを間違って発音しそうになったときに、それを止めて正しい発音に修正する力です。
結果はどうだったの?
発音に問題があるお子さんは、以下のような点で弱い傾向が見られました。
-
音韻認識では、特に言葉の音を逆にする「単語逆唱」のテストで、発音に問題がないお子さんよりも誤りが多く見られました。これは、言葉を操作するための「ワーキングメモリ(短期記憶)」の力が影響していると考えられます。
-
語音弁別においても、自分の発音を聞いて修正する力(内的語音弁別)が弱く、間違った発音を自己モニタリングして直すことが難しいことがわかりました。
-
**実行機能(抑制)**に関しては、発音に問題があるお子さんは、干渉される状況(わざと間違った答えを選ばされるような状況)で、正しい発音を維持するのが難しいという結果が出ました。つまり、発音の間違いを防ぐための「抑制」する力が弱いことがわかります。
これらの結果が意味することは?
発音の問題には、単に口や舌の動きが問題なだけでなく、言葉の音を聞き取る力や、それを頭の中で操作する力、さらには正しい発音に修正するための抑制力など、複数の要因が関わっています。発音の問題が続く場合には、こうした認知機能を含めたトータルなアプローチが効果的であると考えられます。
親御さんへのアドバイス
もしお子さんが発音の問題で悩んでいるようなら、専門家に相談してみることをおすすめします。早期に適切なサポートを受けることで、発音だけでなく、音を聞き分けたり、正しい発音に修正する力も身につけることができます。また、お子さんの発音の成長を見守る際には、焦らずにその子のペースを尊重してあげることも大切です。必要であれば、専門家と一緒にお子さんに合った練習方法を取り入れていきましょう。
参考文献 徳澄愛・細谷里香(2024). 小学生の構音の誤りと音韻認識・語音弁別・実行機能との関連. LD研究, 33(2), 176-186.